










緑に囲まれた住宅街の築47年のRC造のマンション。窓の外に広がる緑を活かし、どの場所からも緑を感じられるよう、全体がゆるやかにつながる回廊型のプランとした。壁構造の躯体を活かしつつ、抜け感を意識しながら空間を区切っている。プライベートな場所をつくったり、あえて段差をつくったりと変化を持たせ、家族それぞれが好きな場所を見つけて自分の時間を過ごす。
テーブルとソファは高さを低く抑え、 床に座った人とも目線が合う高さとした。リビングに家具をあまり置かない代わりに、テーブルは大きくし、食事・仕事・勉強・団らん・おもてなしのどんな用途にも対応できるようにしている。カーペットは畳のように空間をフレキシブルに使うことを可能にする。古くから床座を続けてきた日本人が慣れ親しむ、床に近い暮らしを提案している。
既存のコンクリート壁の粗い質感を活かし、素材感が豊かなマテリアルで全体を構成した。壁紙を剥がす場合、裏紙が残るため下地処理や増貼りが必要となるが、凹凸をあえて補修せず水性塗料をそのままハケ塗りした。水性塗料のざらざらとした質感が重なって左官仕上げのような独特な風合いになり、リノベーションならではの表情が生まれた。
constuctor: NENGO工務店
photo: 中村晃
site: 東京都世田谷区上用賀
year: 2023
area: 62㎡